本の虫と文字の虫とその周辺 (初めての方はカテゴリより、「はじめに」と「登場人物紹介」から)
和泉さんがこんなことしたらときめくなぁなんて
脳内で絵にしたら死にそうになった。←
脳内で絵にしたら死にそうになった。←
「一回でいいから会ってみたいんですよね。村濱剛」
そんな話がもう延々一時間が続いている。
俺は疲労がピークだった。
なかなか進まない執筆。容赦なく締め切りは美作さんと共にやってくるだろう。しかし連日遅くまでねばっても進まないときは進まない。体力ばかり奪われて思考も落ちて更に続きが書けない悪循環。
そんなかんじでとにかく、相当、疲れていた。
「すごいですよね!」
「うん」
「あれ以来あの作風はないと思うんです」
「そうだな」
「模倣すら許さないかんじで」
「うん」
「独特の筆致というか、価値観?痺れます!」
「そうだな」
気づけば俺はさっきから「うん」と「そうだな」しか言っていない。
それもそうだ、疲労に加えて彼女のこの熱弁。背中から聞こえる本の虫の文学トークは止まるところをしらない。
いつもなら乗るところだが、正直今は勘弁してほしかった。
俺は、しんどいんだ。
それになんだかむかむかする。
「……そんなに他の作家誉めなくても」
「え?」
「え。あ、いや」
しまった失言。
「………」
どうしよう、背中から何の反応もない。あんなに熱弁を奮っておいていきなりだんまりとはあんまりじゃないのか。
あとなんで冗談にできない、俺。流せ。沈黙をどうにかしろ!
「………」
冗談にできないのは、冗談じゃないからだ。
彼女があまりに熱を込めて話すのが悪い。
村濱剛に会いたいばかり言うから悪い。
俺だって小説家なのに。なんて、しょーもないことを思ってしまった。
巨匠相手に自分を引き合いにだしたりなんかして。かっこわるいなぁ。
「でも毎日会いたい作家なんてそうそういないですよ」
なんの前触れもなかったので俺の耳を素通りした。
ばっちり聞き逃した。
じゃあなんで既に口が弛むのか、ってはなし。
「……なんて?」
「和泉さんだけだって言ってるんです」
「なにが」
「毎日会いたいのが」
「そうなのか」
「当たり前です」
「………」
あぁそう。そいつは気付かなかった。
というかそういうこと言うくらいなら、少しは照れてみればどうなんだ。
背中合わせだから顔は見えないものの俺には確信があった。
絶対、笑ってる。
まったく。
「ん?……わ。ちょっ、和泉さんっ」
「なに」
「お、重いです」
後ろに思い切り体重をかけて彼女を押し潰す。
ぐたーっと、俺視点で天井が見えるくらい。
背中から非難の声がするが今は無視の方向で。構わず目を閉じた。
あー。このままだと、寝そう。
彼女の高い体温とゆらゆら揺れる不安定な背中は睡眠を絶えず誘っている。
「すごい楽だな、これ」
「どいてくださいよ!」
「やだ」
「なんなんですかいきなりっ……」
「………きみこそなんなんだ」
「はぁ?」
当たり前のように特別扱いときた。
おかげで口元が緩んで仕方ない。
この責任はぜひ取ってもらわないと。
「なんでこんな意地悪、」
すきな子にはな。と頭でぼんやり答えてしまってなんともいえない気持ちになった。
いますぐにでも眠りに落ちそうな思考のなか、
後ろじゃなくてむしろ下から彼女の声が聞こえる。
「和泉さん、へん」
あぁなんだ笑いやがって。
また少し後ろに体重をかけた。
一方通行シーソー
「……。」
「え、そのまま寝ちゃやですよ和泉さん」
「うん……」
「和泉さん」
「……ん」
「どいてほし、」
「…………………」
「和泉さんってば!やっぱり寝てるじゃないですか!」
お疲れなんですよ。
そんな話がもう延々一時間が続いている。
俺は疲労がピークだった。
なかなか進まない執筆。容赦なく締め切りは美作さんと共にやってくるだろう。しかし連日遅くまでねばっても進まないときは進まない。体力ばかり奪われて思考も落ちて更に続きが書けない悪循環。
そんなかんじでとにかく、相当、疲れていた。
「すごいですよね!」
「うん」
「あれ以来あの作風はないと思うんです」
「そうだな」
「模倣すら許さないかんじで」
「うん」
「独特の筆致というか、価値観?痺れます!」
「そうだな」
気づけば俺はさっきから「うん」と「そうだな」しか言っていない。
それもそうだ、疲労に加えて彼女のこの熱弁。背中から聞こえる本の虫の文学トークは止まるところをしらない。
いつもなら乗るところだが、正直今は勘弁してほしかった。
俺は、しんどいんだ。
それになんだかむかむかする。
「……そんなに他の作家誉めなくても」
「え?」
「え。あ、いや」
しまった失言。
「………」
どうしよう、背中から何の反応もない。あんなに熱弁を奮っておいていきなりだんまりとはあんまりじゃないのか。
あとなんで冗談にできない、俺。流せ。沈黙をどうにかしろ!
「………」
冗談にできないのは、冗談じゃないからだ。
彼女があまりに熱を込めて話すのが悪い。
村濱剛に会いたいばかり言うから悪い。
俺だって小説家なのに。なんて、しょーもないことを思ってしまった。
巨匠相手に自分を引き合いにだしたりなんかして。かっこわるいなぁ。
「でも毎日会いたい作家なんてそうそういないですよ」
なんの前触れもなかったので俺の耳を素通りした。
ばっちり聞き逃した。
じゃあなんで既に口が弛むのか、ってはなし。
「……なんて?」
「和泉さんだけだって言ってるんです」
「なにが」
「毎日会いたいのが」
「そうなのか」
「当たり前です」
「………」
あぁそう。そいつは気付かなかった。
というかそういうこと言うくらいなら、少しは照れてみればどうなんだ。
背中合わせだから顔は見えないものの俺には確信があった。
絶対、笑ってる。
まったく。
「ん?……わ。ちょっ、和泉さんっ」
「なに」
「お、重いです」
後ろに思い切り体重をかけて彼女を押し潰す。
ぐたーっと、俺視点で天井が見えるくらい。
背中から非難の声がするが今は無視の方向で。構わず目を閉じた。
あー。このままだと、寝そう。
彼女の高い体温とゆらゆら揺れる不安定な背中は睡眠を絶えず誘っている。
「すごい楽だな、これ」
「どいてくださいよ!」
「やだ」
「なんなんですかいきなりっ……」
「………きみこそなんなんだ」
「はぁ?」
当たり前のように特別扱いときた。
おかげで口元が緩んで仕方ない。
この責任はぜひ取ってもらわないと。
「なんでこんな意地悪、」
すきな子にはな。と頭でぼんやり答えてしまってなんともいえない気持ちになった。
いますぐにでも眠りに落ちそうな思考のなか、
後ろじゃなくてむしろ下から彼女の声が聞こえる。
「和泉さん、へん」
あぁなんだ笑いやがって。
また少し後ろに体重をかけた。
一方通行シーソー
「……。」
「え、そのまま寝ちゃやですよ和泉さん」
「うん……」
「和泉さん」
「……ん」
「どいてほし、」
「…………………」
「和泉さんってば!やっぱり寝てるじゃないですか!」
お疲れなんですよ。
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