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本の虫と文字の虫とその周辺                                                            (初めての方はカテゴリより、「はじめに」と「登場人物紹介」から)
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ちょっと小話。




「上総、髪伸びたね」
「でしょ?早くもっと伸びないかなあ」

毛先をくるくると指に絡める。少しくせのある黒い髪が、巻き付いてはするすると離れていく。ちょっと前までは伸びたらすぐ切ってたから、めったにこんなことも出来なかった気がする。

「なんで伸ばしたいの?」
「だって!」
「…だって?」


待ってました、すごく聞いてほしかったんです!みたいなキラキラした目で、顔で、ハキハキした口調で語られた、髪を伸ばしたい理由に心の中で苦笑いしてしまった。だってあまりにもわかりやすすぎて、こっちが恥ずかしくなりそう。

「…それって、」
「なになに?」

またキラキラした目で見られたから、あたしなんでそんなことするかわかったよ、とだけ言って大事なことは言わなかった。
本当に、あの作家は見え見えの婉曲表現が好きなんだから。

「教えてよー!」
「自分で訊いたら?」

さんざん困ればいいんだ。
ちっともうらやましいなんて思ってない、断じて思ってない!
テスト前は勉強教えてもらうって行くし、テスト終わったらまた毎日通うし、もう一緒に住めば?とかたまに思ってたりして。
でも上総に言っても、なんで?とか言われそうだ。




******


「なんでお前の小説ミディアムの子ばっかなの」
「何が?」
「髪型」
「…かわいいから」
「あの子が?」
「……髪型が」
「(照れんなよ!空気微妙になるから!)」





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