本の虫と文字の虫とその周辺 (初めての方はカテゴリより、「はじめに」と「登場人物紹介」から)
自分の仕事の本質が何なのか、十分理解している。
だが、
「言霊」という言葉が存在するように、時に言葉は魂を宿って生きる。
その生き方は、力となって活力を与えるか、それとも刃となって、身を傷つけるのか・・・・。
それはわからない。
人それぞれの思い方があるように、生み出した人間は読む人間にまでは干渉できない。
それでも、コトバは生き続ける。
+++
「・・・和泉さん、どうしたんですか?」
本を読む彼女は、トイレから帰ってきた俺の体勢が気になるんだろう。
普段は背中を合わせて、彼女は読書。俺は執筆。
本来なら、帰ってきたら俺は机に向かっていつもどおりになるはず。
だけど、俺は彼女の背中を見ていた。
いつもあるはずの重みと支えがない事に、彼女は俺の方へ首を向ける。
「眠いんですか?」
布団あっちですよー。
と、俺の寝室を指差す。
俺は彼女の肩に頭をのせた。
「わわわ」
背中じゃなく肩の重みに驚いて、少し強張るのがわかる。
「少し、本に酔っただけだ」
「え?え?」
疑問譜が頭から見え隠れしてる。
『凄い子が来たわよ』と嬉しそうに話す美作さんが渡してくれたのは、その『凄い子』さんが書いた小説。
デビュー作が既に何万部かいっているらしい。
『ライバル登場?』と妙にウキウキしていたな・・・。
で、俺はその本を読んだ。(失礼ながら現実逃避として)
恋愛物であるそれは、読みやすいものであった。
だが・・・・
(だめだ)
「和泉さん?」
『泉さん?』
(ちくしょう)
「和泉さん?」
『さよなら、 泉さん』
(所詮空想だろ・・・・。作られたモノだ・・・。)
俺はいつの間にか彼女の腰に回していた腕に力をこめた。
生み出した人間の叫び声か、思いの強さか、
それともただの創造された世界だけなのか、
コトバを受け取る人間には
わからない。
(ただ彼女に似ていた、それだけだ)
(彼女は、生きている)
温もりは確かだ。
-------
口の悪い和泉さんと、あせる和泉さんが書きたかったw
上総さんに似ている登場人物がお亡くなりになり、しかも相手の名前が泉だという・・・。
RADの『バイ・マイ・サイ』を聞いて浮かんだものです。
英文わかんないけどね\(^0^)/
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