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本の虫と文字の虫とその周辺                                                            (初めての方はカテゴリより、「はじめに」と「登場人物紹介」から)
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「もう梅雨明けね」
「え」

今日は新作の小説の締め切り日。
原稿を取りにきた美作さんが窓の外を見つめ言った。

「あら、確かニュースで言っていたわよ」

小首を傾げ、髪がさらりと動く。


「嘘…」
「嘘じゃないわよ!」

どうして嘘をつかないといけないのよ、と原稿をまとめながら言う。

確かに嘘をつく必要性はないが……

でも



俺には必ずわかるはずだ。




だが、梅雨の存在すらあまり感じていなかった俺がいる。



動揺している俺を見た美作さんは「あぁ」と、何かわかったらしい。

「そっか、この時期の丹波君は不調子だもんね…」


これはもはや体質としか言えないもの。


重々しい灰色の雲が空を埋めつくすこの時期、雨は連日降り続ける。

この時期はあまり好きでない。


「いつもなら、ダラーっとしているか、不機嫌かのどっちかなのにね」

どうしてかしらね


美作さんはチラリとこっちを見た。
何かを確認するような、答えがわかっていて試すような目で、俺を見る。











あぁ

わかってますよ。





気分を害している暇なんてなかったんだよ。

この毎日に。




毎日の来訪者を思い出す。

俺はクスリと笑った。
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まぁ今更なんて思わずに。


『浪漫』の世界を作る登場人物をご紹介。


○本編○

【筑波上総/ツクバ カズサ】 通称:本の虫

生誕:6月22日
年齢:18歳
身長:160cm
性別:女
在籍:村濱高等学校 三年四組 文芸部

家族:父・母・姉(他界)・兄(下総)・金魚

性格:明るく元気。高校生にしては珍しいほどずばっと物事を言う純粋な子。

容姿:長めの髪を右側で一本にまとめている。少し色素が薄い。

諸々:本編の主人公。ある事がきっかけで和泉さんと出会い、そのまま毎日和泉宅に通う。本が大好きで、いつも読んでいる。
指定席は和泉さんの作業中の背中。(背中合わせでお互い書いたり、読んだり)




【丹波和泉/タンバ イズミ】 通称:文字の虫

生誕:12月25日
年齢:20歳
身長:180cm
性別:男
在籍:村濱大学 文学部3回生 文芸サークル所属(幽霊部員)

家族:両親ともに他界。 一人暮らし。

性格:あまり表情にでない。無口で神経質。人付き合いが苦手で少々口が悪い。

容姿:ひょろい。少し猫背。黒髪の癖毛。前髪が長く、黒ぶちの眼鏡を着用。はずすと容姿端麗だが自覚なし。(お約束)常にパーカー。

諸々:魔の背中を持つ、売れっ子小説家。人ごみと雨が苦手。よく寝る子。カップラーメンをよく食べ、ピーマンが嫌い。







○スピンオフ○

【常陸美濃/ヒタチ ミノ】 

生誕:5月7日
年齢:18歳
身長:155cm
性別:女
在籍:村濱高等学校 二年四組 無所属。アルバイト(えぞ書店)

家族:父・母・妹

性格:大人。クール。策士家。だけど最近は備前に振り回されている

容姿:色素が薄く、薄めの茶色の髪と瞳。短髪で前髪をヘアピンでとめている。美少女。

諸々:一般家庭の子。ですが大人。古本屋でアルバイトをしており、そこで備前と出会う。



【越後備前/エチゴ ビゼン】 

生誕:10月18日
年齢:20歳
身長:172cm
性別:男
在籍:村濱大学 文学部三回生 文芸サークル所属 アルバイト(えぞ書店)

家族:父・母・兄 今は一人暮らし。

性格:ヘタレと見せかけて、何気に策士。アホの子。

容姿:茶色の少し長めの髪。(耳にかかる程度)いつもにこやか。カッターシャツが似合う。

諸々:上流家庭の子。たまに高級品を持ってくる。クラッシックの一般教養とか学んでいそう。大の猫好き。



【筑波下総/ツクバ シモウサ】 

年齢:19歳
性別:男
在籍:村濱大学 アルバイト(数えれない)

家族:父・母・姉(他界)・妹(上総)

性格:明るく元気。上総と属性が似ている。

容姿:色素は薄め。前髪に変な癖があり、短髪。爽やか。

諸々:上総の兄。いろんなところでアルバイトをしてお金を貯めている。
それには訳があるらしい。




【美作伊予/ミマサカ イヨ】 

年齢:28歳
性別:女
在籍:某出版社の編集者 和泉の担当

家族:一人暮らし

性格:大人。完璧主義者。きっちりとこなす。

容姿:黒髪の長髪。左髪を耳にかけている。

諸々:チーム・アダルト。和泉の担当者。いい女すぎる。仕事をきっちりとこなし、元蝦夷の担当者。酒に強い。ザルである。




【蝦夷播磨/エゾ ハリマ】 

年齢:35歳
性別:男
在籍:駅前の古本屋『えぞ書店』の店長。

家族:一人暮らし

性格:オヤジ。天真爛漫でつかめない人。器量がでかい。

容姿:黒髪の短髪。無精ひげ。常に着物ですごす。

諸々:チーム・アダルト。備前、美濃が働く『えぞ書店』の店長。 そして、和泉の師匠で、過去に一緒に暮らしていた。猫好きである。







また増えると思います。

080714

ようこそ、『浪漫シックスティーフォー』へ!

---はじめに

○この物語は複数の製作者による夢、妄想、その他諸々を注ぎ込んだお話です。

○製作者達は「いいネタ!」と思ったら、思い思いに書いて悶えております。

○ので、製作者によっては作風(文章のニュアンス)や登場人物のニュアンスが少々異なります。

○それもまた個性。いろいろな面で引き出される浪漫の世界をお楽しみくださいませ。


---注意事項

○この作品はオリジナル小説です。 
 当サイトでの小説、絵などを無断掲載、模範などは、一切禁止です。
 個人でお楽しみください。

○コメントは製作者達も使っております。ですが、気兼ねせずコメントしてください。

○基本的マナーを守って楽しんでください。


---リンクについて

しばらくお待ちください。


---製作者たち

愉快な人たちが、作っております。

【チコ】
 和泉、上総を生み出した人間。周りを巻き込んだ人。スピンオフ・下総をよく書く。絵もよく描く。

【まぁや】
 和泉さんの背中を見出した人間。スピンオフ・アダルト組みを初めに書いた人。ブログを管理してます。

【しょこ】
 備前、美濃を生み出した人間。ギリギリラインを愛する。スピンオフ・備前、美濃を中心に書く。携帯から参戦。

【みーコン】
 ヘタレた和泉さんを書く人間。和泉・上総の二人組みをよく書く。和泉さんを書くと必ずヘタレになるのが悩みらしい。携帯から参戦。



また増えたりします。


080714
今更七夕?そーです。7月中ならいいんです。←俺様基準





「……………」

普段よく喋る人間が黙り込む事ほど気まずい空気はないと思う。
彼女は短冊やらなんやらを飾りつけた決して大きくはない笹を握ったまま窓から外を恨めしそうに眺めている。
小さな背中から放たれているオーラは哀しみなのか怒りなのか。

「雨…降っちゃいましたね」

ぽつりと零された言葉。
どう返したら良いのか分からず「あぁ」なんて無難な返事をした。

「ひどくないですか?織り姫と彦星は年に1回しか会えないのに雨ですよ?」

嬉しそうに笹と短冊セットを持って彼女がやって来た時には晴れていた空は今は雨。

織り姫の父親によって引き裂かれた2人は1年に1度、七夕の日にだけカササギに手伝ってもらい逢う事が出来る。
ただし、雨の日を除く。
「これは織り姫パパの陰謀ですかね?これだから男親ってのは……」「カササギも雨ぐらいで仕事サボるんじゃないですよ」なんて先程からぼやいているこの文学少女は中々にロマンチストなんだと意外な発見に浸っていたが、ここまで彼女が凹んでいるとこちらも調子が狂う。
かと言って、どう言葉をかけたら良いのだろう。
何年も小説を書いてきたのに脳内の語学ストックには今かけるべき台詞の該当数0。
下手な言葉をかけて彼女を傷付ける訳にもいかず悩んでいるとあちらから声をかけてきた。

「織り姫と彦星、今頃どうしてると思います?」
「え?」
「超売れっ子小説家の和泉さんなら思い付きますよね」

何だかものすごくプレッシャーを掛けられた気がするけど、この返答によって今後の彼女の気持ちが変わるのだろう。
今の俺にとっては深刻な問題だな、コレは。

じぃーっと俺を見つめる瞳から目を逸らして考えてみる。
やっぱり2人共嘆き悲しんでるんじゃないだろうか。ただそれはあまりに在り来り。彼女の機嫌も回復なんてしないはず。
もし、1年に1度しか逢えない約束すら果たされなかったら?来年までお預けになったら?
もし、俺なら?

「きっと……彦星はダメになってる」
仕事はもちろん食事なんかまで手につかず、机に突っ伏してる。男なんてそんなもん。原稿用紙をグシャグシャにしては放り投げて溜息ついて。

「頼りない彦星ですね。織り姫は?」
少し笑って続きを促す彼女を盗み見ては考える。

「織り姫も最初は哀しむはずだ。絶望の声をあげて」
でも哀しむのはそこまで。来年に向けてすぐに動き出す。
嘆き悲しんで終わるような子ではない。
きっと気の遠くなるような数のてるてる坊主を作って作って――
彦星の所にまで届くぐらい作れたらカササギなんかに頼らず自分の力で天の川すら渡るだろう。
何がなんでも逢いに行く。

「強いですね、織り姫」
「俺もそう思うよ」
「え?」

何でもないとごまかすと「流石は和泉さんですね」と褒めながら彼女は何かを作り始めた。
完成した白く小さなそれを笹に括り付けると満足そうに頷いた。

「和泉さん」
「何?」
「私も何があっても和泉さんの所に来ますからね!」

小説が読みたいから?それとも俺に逢いに?なんて聞けるはずもなくて「そうか」とだけ言っておいた。

雨が少しだけ止んできた気がした。



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