本の虫と文字の虫とその周辺 (初めての方はカテゴリより、「はじめに」と「登場人物紹介」から)
「もう梅雨明けね」
「え」
今日は新作の小説の締め切り日。
原稿を取りにきた美作さんが窓の外を見つめ言った。
「あら、確かニュースで言っていたわよ」
小首を傾げ、髪がさらりと動く。
「嘘…」
「嘘じゃないわよ!」
どうして嘘をつかないといけないのよ、と原稿をまとめながら言う。
確かに嘘をつく必要性はないが……
でも
俺には必ずわかるはずだ。
だが、梅雨の存在すらあまり感じていなかった俺がいる。
動揺している俺を見た美作さんは「あぁ」と、何かわかったらしい。
「そっか、この時期の丹波君は不調子だもんね…」
これはもはや体質としか言えないもの。
重々しい灰色の雲が空を埋めつくすこの時期、雨は連日降り続ける。
この時期はあまり好きでない。
「いつもなら、ダラーっとしているか、不機嫌かのどっちかなのにね」
どうしてかしらね
美作さんはチラリとこっちを見た。
何かを確認するような、答えがわかっていて試すような目で、俺を見る。
あぁ
わかってますよ。
気分を害している暇なんてなかったんだよ。
この毎日に。
毎日の来訪者を思い出す。
俺はクスリと笑った。
「え」
今日は新作の小説の締め切り日。
原稿を取りにきた美作さんが窓の外を見つめ言った。
「あら、確かニュースで言っていたわよ」
小首を傾げ、髪がさらりと動く。
「嘘…」
「嘘じゃないわよ!」
どうして嘘をつかないといけないのよ、と原稿をまとめながら言う。
確かに嘘をつく必要性はないが……
でも
俺には必ずわかるはずだ。
だが、梅雨の存在すらあまり感じていなかった俺がいる。
動揺している俺を見た美作さんは「あぁ」と、何かわかったらしい。
「そっか、この時期の丹波君は不調子だもんね…」
これはもはや体質としか言えないもの。
重々しい灰色の雲が空を埋めつくすこの時期、雨は連日降り続ける。
この時期はあまり好きでない。
「いつもなら、ダラーっとしているか、不機嫌かのどっちかなのにね」
どうしてかしらね
美作さんはチラリとこっちを見た。
何かを確認するような、答えがわかっていて試すような目で、俺を見る。
あぁ
わかってますよ。
気分を害している暇なんてなかったんだよ。
この毎日に。
毎日の来訪者を思い出す。
俺はクスリと笑った。
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