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七夕企画をするのかどうかさえ決まっていないのに(笑)
勝手にスタートしちゃいました。

しかも新キャラでてるし←

・下総が書きたった。
・誰かに愛称で呼んで欲しかった。

THE妄想!

「はい、これ」
「何ですか、これ」
「何ってみりゃわかるだろ」

渡されたのは細長く切られた長方形の紙。
俺が疑問符を飛ばしてるのをみた店長は、親指で壁にかけているカレンダーをさす。

あぁ、もうそんな時季だったのか…


明後日は7日。

七夕だ。

ちょっと待て、こんな居酒屋と何が関係あるんだ。



【四型に願い】




店長曰く、店内に七夕特有の笹を飾り、お客様に短冊を書いてもらうミニイベントをやるらしい。
つまり、ただ何にも付いていなかったら書きにくいから、サクラとして俺達(従業員、ってまぁ、アルバイト)が書けと言うわけだ。


俺は紙をペラペラと揺らして遊んでいた。
やっと客も少なくなって、少し休みが出来た俺は、控えでボーっと座っていた。

「加賀、アンタまだ書いてないの?」

声の方をみると、俺より少し先に入ったらしい、同年齢の先輩が話しかけてきた。
まぁ、タメ口であるが。


きつい香水の臭いが鼻の神経を刺激する。

「わりぃか」
「べっつに。そんなの適当に書いちゃえばいいのに」
「まぁな」

俺だって適当に書くタイプだ。
もう、世界征服とか幸せになりたいとか書けばいい。むしろ俺は書く。
だが、俺の頭には3年前のこの日が蘇っていた。

「ちょっと、昔を思い出してたんだよ」
「はぁ?」
「高校の担任がちょっと弾けてるやつでさ、これを書かされたことがあってな」
そういえば、あの時も皆であーだこーだ言ったな。

「適当に皆書いたわけよ」
彼女欲しいやら、休みくれとか、真面目なのはまぁ、大学合格とか成績があがりますよーに、って

皆で馬鹿言いながら、誰が書いたかわかんない紙を見ていった。

で、適当に取った一枚を見たら

『鳥になりたい』






「ぷはっ、なに、鳥って!高校でそんなの書くやついるんだぁ」

女子は手を叩きながら、笑っていた。
ウケるんですけどーっ!
と、大声をだして笑う。
あの時と同じように。
クラスのヤツらも笑っていたな。
確か、『家族が元気でありますように』の願いの次に見たのがそれだったし…
まぁ、ギャップは強かった。


他の店員も書いてるみたいで、俺たちの会話に興味があるらしい。こっちを気にしてるのがわかる。
まぁ、この女子が煩いってのもあるだろうけどな。


「で、それから?」
「それから?」
「誰が書いたのよ?」
「あぁ、俺のダチ」
「ぶっ、アンタ変なヤツしか友達いないの?」
「ほっとけ」

「で、オチは?何か他にあったんでしょ?」

「オチなんてねぇよ、これだけ」
「はぁー?なによ、もー」

女子はなにかを期待していたらしく、急に機嫌をそこねた。
俺にあたってもしかたねぇだろ。


話終わったら、興味をなくしたらしく、女子は違う人に絡みに行った。

元気なヤツだ。



俺は手元の紙を見た。





「こんちはー!!」

元気よく扉を開けて入ってきた。

アイツの声を聞いて、顔をあげた店員達は嬉しそうに笑っている。
待ってましたと言わんばかりに。

「よう、筑波。道に迷ったんかー?」
「いつもより遅いね」
「じゅーたいっ!!まじ、困ってさぁ~」

ニパッと皆に笑顔を振り撒いて自分のロッカーへ、荷物を直す。

「おい、筑波」
「はい、店長っ!」
「アレ書いたかー?」
「え、あぁっ!もちろん、持ってきましたよー」


そう言って、ガサガサと荷物を探り、俺と同じ紙を店長に渡した。


「ぶっ、おめぇ、これマジか?」
「まじっすよ!」
「へぇ~、まぁいい。貰っとくわ」

店長は笹の元へと行くため、控えから出た。



「シモ」
「お、加賀っ!今日入ってたんだ」
「まぁ、臨時」
「なるほどね」


あ、加賀も書いてるのか、と俺のに指をさす。
俺は軽く返事をした。


「なぁ、シモ」
「なんだい?」
「コレ、何て書いた?」

シモはニヤリと笑う。







『こんなとこで足踏みしていたくない。早く早く見付けたいんだ』

帰り道、コイツはそう答えた。

俺は知っている
コイツがよくあの家の窓を見ているのを。

コイツが必死で探しているのを


コイツがあの四型の紙に書いたのは、冗談じゃなくてマジだということ。

『七夕ってなかなか会えない二人が会える日なんだろ。
なんか力もらえそうじゃね?』



『鳥になりたい』


目の前にいるコイツも、前のコイツと一緒の願い。


なら、俺は




「さて、交代するか」
「ん、加賀。書けたのか」
「まぁな」


うし、頑張りますかーっ!
とシモは気合いをいれて持ち場へ向かう。
俺もあとについていった。




『ダチの願いが叶いますように』




さすがに鳥になっては困るが、まぁ、そこんとこのニュアンスは織姫も彦星とやらも感じてくれるだろ。
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無題
最後の一文たまらんね(*´`*)ニュアンス

ちこちゃん演出うますぎるよ。笑
まぁや 2008/07/08(Tue)12:39:28 編集
無題
これはなんだかスルスル書けたヤツなんだw
チコ 2008/07/08(Tue)13:10:09 編集
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