本の虫と文字の虫とその周辺 (初めての方はカテゴリより、「はじめに」と「登場人物紹介」から)
一人から見てもらえなきゃ、意味ないから。
「美濃ちゃん見て見て!」
「…なんですか」
鞄から雑誌を少し出したところで気づいた。よく考えれば、こんなかっこいい和泉を見せちゃダメだ。ダメだ、ときめかれたら困る。和泉の普段を知ってる俺でもこの写真のかっこよさには驚いたから、こんなん見せちゃまずい、うわ、気づくの遅すぎるぞ俺!
突然黙った俺を怪訝そうに見てた彼女は、鞄から出ている雑誌の表紙を見て「ああ、それなら見ましたよ」とあっさり言ってのけた。
「正確には見せられた、って感じですけど」
ああ、あの子か。
落ち着いて考えればわかることじゃないか。なに焦ってんだか。俺ださい。
「和泉さん、でしたっけ?かっこいいですよね」
もうときめいちゃってんじゃん。時既に遅し。美濃ちゃんはちょっと笑ってそう言った。なんなんだ写真一枚で美濃ちゃんを笑わせられるなんて我が友ながらすごいやつだ。しかしまあ、悔しいというかなんというか。
「だから学園祭の美男子コンテストに応募しようと思ってんだけど」
「和泉さんは良いって言ってるんですか」
「言ってないから嫌がらせで出そうかと思って」
出て、優勝でもなんでもすればいい。で、可愛い女の子らに囲まれて慣れない状況に困ればいい!
でも本当に起こりそうで、それはそれで嫌だった。つうかなに、俺もしかしなくても和泉に嫉妬してるのか。美濃ちゃんには名前呼びされてるし、才能もルックスも持ち合わせてるとか、ずるい。こんなん言うのも今更だけど。うわー俺今すっげえ醜い。
「…越後さんは出ないんですか?」
「今んとこは予定ない」
「出たらいいじゃないですか」
「なんで?」
「だって越後さんなら絶対入賞できると思うのに……」
二秒ほどの間のあと、「今の無し、気にしないでください!」と珍しく焦ったような声で言われた。そして逃げるように店の出口付近まで行く彼女。
…どうしよう、きっと今顔の筋肉が緩みっぱなしだ。それは、裏返して考えてもいいのかな。俺が入賞できると思ったのは、なんで?
「じゃあ俺も出ようかな」
「…良かったですね、きっと女子大生からハーレムされますよ」
「あー、じゃあやっぱやめよ」
さっきまで和泉に嫉妬してた自分がキモい。なんだ俺まだまだいけるじゃん。自分に自信持てそう、とか、俺どんだけ現金なんだ。
「女子大生は嫌なんですか」
「やっぱり女子高生に限るよ」
「…親父趣味」
女子高生も、人物が限定されなきゃ意味ないけど。
口には出さないけど、そう思った。
「美濃ちゃん見て見て!」
「…なんですか」
鞄から雑誌を少し出したところで気づいた。よく考えれば、こんなかっこいい和泉を見せちゃダメだ。ダメだ、ときめかれたら困る。和泉の普段を知ってる俺でもこの写真のかっこよさには驚いたから、こんなん見せちゃまずい、うわ、気づくの遅すぎるぞ俺!
突然黙った俺を怪訝そうに見てた彼女は、鞄から出ている雑誌の表紙を見て「ああ、それなら見ましたよ」とあっさり言ってのけた。
「正確には見せられた、って感じですけど」
ああ、あの子か。
落ち着いて考えればわかることじゃないか。なに焦ってんだか。俺ださい。
「和泉さん、でしたっけ?かっこいいですよね」
もうときめいちゃってんじゃん。時既に遅し。美濃ちゃんはちょっと笑ってそう言った。なんなんだ写真一枚で美濃ちゃんを笑わせられるなんて我が友ながらすごいやつだ。しかしまあ、悔しいというかなんというか。
「だから学園祭の美男子コンテストに応募しようと思ってんだけど」
「和泉さんは良いって言ってるんですか」
「言ってないから嫌がらせで出そうかと思って」
出て、優勝でもなんでもすればいい。で、可愛い女の子らに囲まれて慣れない状況に困ればいい!
でも本当に起こりそうで、それはそれで嫌だった。つうかなに、俺もしかしなくても和泉に嫉妬してるのか。美濃ちゃんには名前呼びされてるし、才能もルックスも持ち合わせてるとか、ずるい。こんなん言うのも今更だけど。うわー俺今すっげえ醜い。
「…越後さんは出ないんですか?」
「今んとこは予定ない」
「出たらいいじゃないですか」
「なんで?」
「だって越後さんなら絶対入賞できると思うのに……」
二秒ほどの間のあと、「今の無し、気にしないでください!」と珍しく焦ったような声で言われた。そして逃げるように店の出口付近まで行く彼女。
…どうしよう、きっと今顔の筋肉が緩みっぱなしだ。それは、裏返して考えてもいいのかな。俺が入賞できると思ったのは、なんで?
「じゃあ俺も出ようかな」
「…良かったですね、きっと女子大生からハーレムされますよ」
「あー、じゃあやっぱやめよ」
さっきまで和泉に嫉妬してた自分がキモい。なんだ俺まだまだいけるじゃん。自分に自信持てそう、とか、俺どんだけ現金なんだ。
「女子大生は嫌なんですか」
「やっぱり女子高生に限るよ」
「…親父趣味」
女子高生も、人物が限定されなきゃ意味ないけど。
口には出さないけど、そう思った。
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