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本の虫と文字の虫とその周辺                                                            (初めての方はカテゴリより、「はじめに」と「登場人物紹介」から)
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視点を変えてみよう。

出来ないことばかり数えてないで、
なぜ、自分には、それが出来るのか。考えよう。

ラーメンができる3分間には間に合わなくたって、
ラーメンが伸びきってしまうまでには、答えは間に合うはずだ。

         死ぬまで書き続けたい


締め切り間近の原稿を投函しに郵便局まで行って、帰って、
腹が減ったなぁ、と思ったから、お湯を沸かした。




注いで



3分





いただきま―――――――――――――――






「あ―――――――――ッッ!」







びくっとした。
危うく持っているものをひっくり返しそうになった。
そしたら大変だ。絶対火傷する。

あまりに唐突な叫び声だった。
かろうじてのノーリアクション。



「………なに」



今まさに一口目を食べようとしていたカップ麺と、箸を机に置いて
振り返る。

彼女は肩をいからしながら、



「またカップ麺じゃないですか!」



と文句を言って、ずかずかと家の中に上がり込んだ。




これがいつから当たり前になったのか。
とりあえず今は、彼女の来訪が締切が明けた今でよかったと思う。




「いいじゃないか好きなんだから」
「よくないです!カップ麺好きなんてろくなもん食べてない証拠ですよ」
「んなことない」
「あります」
「ないよ」
「ありますよ!第一、このほそっこい体!」
「人の体ベタベタ触るのはやめなさい」





ほら彼女がいるこの部屋といったら、
とても小説なんて落ち着いて書ける環境じゃないから。




「でも和泉さん、ほそっこいけどおっきいですよね」
「まぁ平均よりはね」
「平均どころじゃないですよー。ね、和泉さん。運動とかしないんですか?」
「いや、あんましないけど………。なんで?」
「別になんでもないんですけどね。ただ、こんなに背ぇ高くて運動できそうなのに、なんで小説家なのかなーって思って」
「あぁ」




なんで、小説家なのか。
考えてみて浮かぶ理由は「好きだから」だけど。

それ以外にあるとすれば、




「運動は、そんなに得意じゃない」
「え?」
「そもそも、得意なことってないな。才能ないから。文章を書くくらいしかできない。だから小説家なんだ」




今日思い返して初めて知ったことだけど。
別にネガティブとかそんなんじゃなくて純粋に、そう思う。

彼女といると思い知ることが多い。
















「違うと思います」















「え?」
「きっと違いますよ」




彼女といると、否定されることも多い。

覆されることも多い。




「文章を書くくらいしかできないんじゃない。―――――きっといろんな才能を放棄してもしたいことが、小説を書くことだったんですよ。だから小説家なんです」




絶対そう。と彼女はひとり満足げに頷いた。




気遣いでもなんでもなくて。
お世辞でもない。
ただそう思ったからそう言うのだ。それが彼女のスタンス。



はかりしれない。








「和泉さんは小説を選んだんですね」







「(………あぁ、そうなのか。)」





彼女といると、ほんとに、

思い知らされることが、

多い。





死ぬまで書き続けたい

(きみが隣で思い知らせてくれる限りは、)
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