本の虫と文字の虫とその周辺 (初めての方はカテゴリより、「はじめに」と「登場人物紹介」から)
俺は遂に見てしまった。
和泉の家から飛びっきりかーわいい女子高生が出ていくところを。いわゆるJKだね。(前和泉にこの話したら冷たい目で見られた。あいつとことん流行に疎い)
確か和泉に妹なんていなかったし、これはもしやあれしかないのか、いやでもあれ以外俺には考えられないし、うーん。
しかしまずかったのはその現場を見て、俺がそこから逃げ出してしまったことだ。理由はわからない。あ、わかった、あんなインテリメガネは可愛いJKと(どういう訳かはわからないけれど)お話し出来るのに、俺はなんで出来ないんだろう。俺はインテリでも、ましてやメガネでもないのにね。
彼女が欲しかった訳ではないけれど、突然の友人のクラウチングスタートに俺は例の姿勢を取る前に転んでしまってもう出遅れてしまった訳で、まあ要するに焦ってる、んだと思う。多分ね。
「どうしたらいーんだろう」
口に出したところで気分はますます墜落していくだけだった。
「あの越後さん一個いいですか」
「なに、美濃ちゃん」
「あたし女子高生ですけど」
「知ってるよ」
「ならいいです」
人通りもまばらな駅前の商店街の中の小さな古本屋。客は滅多にこない。わかる、この状況?もはやちょっとした罠だよね。狭い店内に二人きり、とか意識しちゃダメ、そこで俺は負けになるんだ。
「女子高生が好きとか、越後さん見かけによらず親父趣味ですね」
もう今日三回はした本棚の整理をまたしながら、美濃ちゃんは言う。なんでもいいから働いてないと気が済まないらしい。そんな性格がちょっと羨ましいようで、でも俺にはいらないかなと思った。キャラじゃないからね。
「見かけによらず、ってどういうこと?」
「そのまんまの意味です」
「じゃあ俺の見かけはどんな風に見えんの?」
「……少女趣味」
「ちょっとその冗談笑えないよ」
「本気ですから」
そう言って奥の本棚まで行って、カウンターの俺からは見えなくなった。
笑えない、盛大に笑えないよ。だって君のことはじめは中学生かと思ったんだから。
ダメだ、やっぱり俺は負け組だ。いやでも意識してしまう。かといって和泉みたいに慕われている訳でもないし、親父趣味に踏み出す、いや、踏み込む勇気も持ち合わせてない。
「ちょっと越後さん寝ないでください」
カウンターに突っ伏した途端言われる。こっちからは見えないのに、向こうからは見えるのか。つまらん。
「寝てません。伏せただけです」
「小学生みたいなこと言わない」
「あはは、美濃ちゃんお母さんみたいだね」
「馬鹿なこと言わないでください。店長にチクりますよ」
「それはやめて」
慌てて美濃ちゃんのところまで走る。にしてもここ本当に狭い。ちょっといやだいぶ辛いんだけど。
何冊か俺に本を手渡す美濃ちゃんはいつになくクール。つうかいつもクール。顔はこんなに可愛いのにね。
「何か言いました?」
「…言ってません」
でも俺は気付いたんだ、この位置からカウンターは見えない。いちいち本棚の間から顔を出さないと見えないんだ。顔だけじゃなくてやっぱり可愛い。
「ニヤニヤしないで、キモいです」
「美濃ちゃんはストレートすぎると思うんだ俺」
焦ることはない、か。
確か和泉に妹なんていなかったし、これはもしやあれしかないのか、いやでもあれ以外俺には考えられないし、うーん。
しかしまずかったのはその現場を見て、俺がそこから逃げ出してしまったことだ。理由はわからない。あ、わかった、あんなインテリメガネは可愛いJKと(どういう訳かはわからないけれど)お話し出来るのに、俺はなんで出来ないんだろう。俺はインテリでも、ましてやメガネでもないのにね。
彼女が欲しかった訳ではないけれど、突然の友人のクラウチングスタートに俺は例の姿勢を取る前に転んでしまってもう出遅れてしまった訳で、まあ要するに焦ってる、んだと思う。多分ね。
「どうしたらいーんだろう」
口に出したところで気分はますます墜落していくだけだった。
「あの越後さん一個いいですか」
「なに、美濃ちゃん」
「あたし女子高生ですけど」
「知ってるよ」
「ならいいです」
人通りもまばらな駅前の商店街の中の小さな古本屋。客は滅多にこない。わかる、この状況?もはやちょっとした罠だよね。狭い店内に二人きり、とか意識しちゃダメ、そこで俺は負けになるんだ。
「女子高生が好きとか、越後さん見かけによらず親父趣味ですね」
もう今日三回はした本棚の整理をまたしながら、美濃ちゃんは言う。なんでもいいから働いてないと気が済まないらしい。そんな性格がちょっと羨ましいようで、でも俺にはいらないかなと思った。キャラじゃないからね。
「見かけによらず、ってどういうこと?」
「そのまんまの意味です」
「じゃあ俺の見かけはどんな風に見えんの?」
「……少女趣味」
「ちょっとその冗談笑えないよ」
「本気ですから」
そう言って奥の本棚まで行って、カウンターの俺からは見えなくなった。
笑えない、盛大に笑えないよ。だって君のことはじめは中学生かと思ったんだから。
ダメだ、やっぱり俺は負け組だ。いやでも意識してしまう。かといって和泉みたいに慕われている訳でもないし、親父趣味に踏み出す、いや、踏み込む勇気も持ち合わせてない。
「ちょっと越後さん寝ないでください」
カウンターに突っ伏した途端言われる。こっちからは見えないのに、向こうからは見えるのか。つまらん。
「寝てません。伏せただけです」
「小学生みたいなこと言わない」
「あはは、美濃ちゃんお母さんみたいだね」
「馬鹿なこと言わないでください。店長にチクりますよ」
「それはやめて」
慌てて美濃ちゃんのところまで走る。にしてもここ本当に狭い。ちょっといやだいぶ辛いんだけど。
何冊か俺に本を手渡す美濃ちゃんはいつになくクール。つうかいつもクール。顔はこんなに可愛いのにね。
「何か言いました?」
「…言ってません」
でも俺は気付いたんだ、この位置からカウンターは見えない。いちいち本棚の間から顔を出さないと見えないんだ。顔だけじゃなくてやっぱり可愛い。
「ニヤニヤしないで、キモいです」
「美濃ちゃんはストレートすぎると思うんだ俺」
焦ることはない、か。
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