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本の虫と文字の虫とその周辺                                                            (初めての方はカテゴリより、「はじめに」と「登場人物紹介」から)
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丸めた原稿用紙で山ができた。

小説は全く進んでいない。

〆切りまで残り少ないというのに。

気付けばチラチラと見ている時計は正確。

いつもはとっくに来てるはずの時間。

なのに何で来ない?



ひょんな事から出会った、筑波上総。
彼女は俺の家に通うという日課を立てたようで放課後は家にいるようになった。

それなのに今日はまだ来ていない。



…………病気?まさか事故!?


「…落ち着け、俺」


何でこんなに気にしてるんだ。

せっかく煩いのがいないんだ、集中して執筆できるチャンスだろう。

………………。



******


翌日、原稿はまったく進んでいなかった。

白い原稿を前に頭を抱えた俺に聞こえて来た声は、

「和泉さーん!」

チャイムも無しで部屋に近づいて来る軽い足音。

「作品見せてくださいっ」

満面の笑みで当たり年のように手を差し出したソイツの頭を丸めた原稿用紙で叩く。

「誰のせいで執筆遅れてると思ってんだ」
「え、私のせいなんですか?」

まぁ、ある意味な。

「もー、すぐそうやって人のせいにする。……和泉さん友達少ないでしょ」
「煩い、家から出ろ。どこかへ行け。青春らしいことしてこい」
「嫌ですよー。和泉さんの作品見ます!伊達に本の虫と呼ばれてませんよ?」
「お邪魔虫の間違いだろ?」
「ひどーい!」


ギャーギャー反論している声をBGMに机に向かう。
彼女が来た途端、頭に浮かびだす文字達。


……まさか?もしかして?

いやいや認めなくない、認めるものか。


「頑張って書いてくださいね。楽しみにしてますから!」
「…あぁ」


こんなにも彼女に振り回されているなんて

こんなにも彼女のことが気になるなんて



END

(何で昨日来なかったんだ?)
(私用でちょっと…あ、寂しかったんですか?)
(っ、違う!)





あらあら、和泉さんがツンデレに(´∀`;)
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