本の虫と文字の虫とその周辺 (初めての方はカテゴリより、「はじめに」と「登場人物紹介」から)
たまたま立ち寄ったコンビニであの雑誌を見つけたから手にとった。
パラパラとめくると特集に目が止まる。
『10代女子が選ぶ!恋人にしたい男100選!!』
ふーん。へー。ほー。
くだらないと思いながらじっくり見てしまうあたり自分も今どきの女子なんだなーと思いながら、ページを捲る。
連ドラに出てる新人俳優。外人アーティストに、巷で人気のイケメン多数。でもやっぱり格好良いと思えない。どこがいいんだか。
あー、今じゃ若社長なんかまでもが取り上げられてたりするのか。
球児にゴルファ―。ピアニストに小説家。
「………ん?」
小説家?
パラパラとめくると特集に目が止まる。
『10代女子が選ぶ!恋人にしたい男100選!!』
ふーん。へー。ほー。
くだらないと思いながらじっくり見てしまうあたり自分も今どきの女子なんだなーと思いながら、ページを捲る。
連ドラに出てる新人俳優。外人アーティストに、巷で人気のイケメン多数。でもやっぱり格好良いと思えない。どこがいいんだか。
あー、今じゃ若社長なんかまでもが取り上げられてたりするのか。
球児にゴルファ―。ピアニストに小説家。
「………ん?」
小説家?
「なんなんですかこれは!」
和泉の前に雑誌が、あるページを開いたまま叩き付けられる。
「あぁ、それか」
上総が声を荒げるのにも構わず、和泉はいつものテンションで返した。
それがまた上総には気に入らなかった。
「これはなんなのか、って訊いてるんですっ」
「何、って言われても。見たまんまだ。っていうか買ってきたのか」
「もうなんだか恥ずかしくて恥ずかしくて。いかがわしい雑誌を買うかのごとくそそくさと買ってきました」
「その表現やめなさい女子高生」
それは以前、和泉が背中で表紙を飾った雑誌だった。
問題はその中で組まれていた特集。
『10代女子が選ぶ!恋人にしたい男100選!!』
『69位 丹波和泉』
コンビニでこれを見たとき上総は卒倒しそうになった。
「顔もばっちり載っちゃってっ」
「こんな小さい写真じゃ顔なんてわからない」
「わかります!しかもこれって出版記念パーティーか何かのでしょう?」
「あぁ」
「こんなの出回ったら、」
「え?」
「……いえいえ。なんでもないです」
危ない危ない。
「69位」
「微妙だろ」
「の、わりにはちょっと嬉しそうだし」
「いやいや」
彼は彼で一時、顔がどうとか気にすることがあったので(主に彼女絡みで)なんだ俺もいけるじゃないかと思うと少し嬉しくもなってしまったらしく。
もちろんそんなこと上総は知らない。
「美作さんが勝手に話通したんだ。あの雑誌、おんなじ出版だから」
「美作さんが?」
「おもしろがって」
「そうですか」
「断れなかった」
「ふーん」
上総は興味がないような返事をしながら、もう一度雑誌を手にとって誌面の彼を凝視する。
いつもの姿からはこの像と結びつかない。
(実際自分は出会っても気付かなかった)
(背中じゃないと)
この写真だけを見て、読者の10代女子たちは和泉さんを格好良いと言うのだろうか。これだけで?
「……やだなぁ」
「ん?」
「なんでも」
こんなのに載って遠くなってしまったら困る。
今どきの女子高生はこーゆーのすきらしいから。
困る。
「和泉さんこーゆーの似合わないですよ」
「そうか?」
「なんか、合ってないです」
「まぁ向いてはないけど」
棘のある上総の物言いに、和泉は察する。
すると少し口の端が上がる。
上総は和泉と視線を合せようとしないので気付かない。
上総の言葉は止まらない。
「インタビューにまで答えちゃって」
「あぁ」
「外食が好きだったんですねー、知らなかった。しかもパスタが特に好きなんだとか?」
「なんかそうなってたな、勝手に」
「作家様はカップ麺がお好きなのに」
「そうだな」
「でも世の中の女は信じるんです」
「うん」
「週刊誌やらで仕入れた情報で和泉さんを知った気になるんですよ」
「きみは、」
「今日はえらく饒舌なんだな」
「………」
浅はかさに気づいて思わず赤くなる。
これじゃあまるで、
おしゃべりなマガジン
(っ、なにニヤニヤしてんですかっ)
(してないから)
(してました!)
(きみがわかりやすすぎる)
(……69位の人最悪)
和泉の前に雑誌が、あるページを開いたまま叩き付けられる。
「あぁ、それか」
上総が声を荒げるのにも構わず、和泉はいつものテンションで返した。
それがまた上総には気に入らなかった。
「これはなんなのか、って訊いてるんですっ」
「何、って言われても。見たまんまだ。っていうか買ってきたのか」
「もうなんだか恥ずかしくて恥ずかしくて。いかがわしい雑誌を買うかのごとくそそくさと買ってきました」
「その表現やめなさい女子高生」
それは以前、和泉が背中で表紙を飾った雑誌だった。
問題はその中で組まれていた特集。
『10代女子が選ぶ!恋人にしたい男100選!!』
『69位 丹波和泉』
コンビニでこれを見たとき上総は卒倒しそうになった。
「顔もばっちり載っちゃってっ」
「こんな小さい写真じゃ顔なんてわからない」
「わかります!しかもこれって出版記念パーティーか何かのでしょう?」
「あぁ」
「こんなの出回ったら、」
「え?」
「……いえいえ。なんでもないです」
危ない危ない。
「69位」
「微妙だろ」
「の、わりにはちょっと嬉しそうだし」
「いやいや」
彼は彼で一時、顔がどうとか気にすることがあったので(主に彼女絡みで)なんだ俺もいけるじゃないかと思うと少し嬉しくもなってしまったらしく。
もちろんそんなこと上総は知らない。
「美作さんが勝手に話通したんだ。あの雑誌、おんなじ出版だから」
「美作さんが?」
「おもしろがって」
「そうですか」
「断れなかった」
「ふーん」
上総は興味がないような返事をしながら、もう一度雑誌を手にとって誌面の彼を凝視する。
いつもの姿からはこの像と結びつかない。
(実際自分は出会っても気付かなかった)
(背中じゃないと)
この写真だけを見て、読者の10代女子たちは和泉さんを格好良いと言うのだろうか。これだけで?
「……やだなぁ」
「ん?」
「なんでも」
こんなのに載って遠くなってしまったら困る。
今どきの女子高生はこーゆーのすきらしいから。
困る。
「和泉さんこーゆーの似合わないですよ」
「そうか?」
「なんか、合ってないです」
「まぁ向いてはないけど」
棘のある上総の物言いに、和泉は察する。
すると少し口の端が上がる。
上総は和泉と視線を合せようとしないので気付かない。
上総の言葉は止まらない。
「インタビューにまで答えちゃって」
「あぁ」
「外食が好きだったんですねー、知らなかった。しかもパスタが特に好きなんだとか?」
「なんかそうなってたな、勝手に」
「作家様はカップ麺がお好きなのに」
「そうだな」
「でも世の中の女は信じるんです」
「うん」
「週刊誌やらで仕入れた情報で和泉さんを知った気になるんですよ」
「きみは、」
「今日はえらく饒舌なんだな」
「………」
浅はかさに気づいて思わず赤くなる。
これじゃあまるで、
おしゃべりなマガジン
(っ、なにニヤニヤしてんですかっ)
(してないから)
(してました!)
(きみがわかりやすすぎる)
(……69位の人最悪)
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