忍者ブログ
本の虫と文字の虫とその周辺                                                            (初めての方はカテゴリより、「はじめに」と「登場人物紹介」から)
[13]  [12]  [11]  [10]  [9]  [8]  [7]  [6]  [5]  [4]  [3
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ずっと、
そこにある。線の集合体を見ていたい。

心ごと持ってった。
視線も魂も奪われた。

全部あげます、但し返却不可。


                恍惚フォ

締め切りの前日は邪魔しないことを約束にしていた。
たったいま下された指令は「一時間喋りかけない」こと。



指令を下すと、和泉さんは無言で文机に向かった。
万年筆が滑らかに原稿を滑ってはところどころでひっかかる。
最後がいびつな独特の筆致。
字が汚いと言う人もいるかもしれないが、ギリギリのバランスを保つこの字が、わたしはけっこーすきだ。




「………あのさぁ」
「はい」
「顔、近い」
「すいません」




仕方なく傍を離れる。
この分じゃ背中もダメだろう。うわぁ一時間も耐えれるのかなそんなの。


一時間か。と、時計を見ると、
長い針が進む速さの、なんとまぁ遅いこと。
相対性理論。これは何を示しているんですか。


一時間どうやって過ごそうか。
珍しく、本を読みたい気分じゃない。
とりあえず文机の横に寝転がってみる。




「寝ないでね」
「はい」
「寝るなら帰りなさい」
「寝ませんよ」




「………」




何も言わなくなったと思って視線を少し上にあげると、真剣な顔が見える。

眼鏡のむこうの目はこの角度からじゃあ見えない。その目の奥には何が見えているのだろうか。どんな世界でどんな人間がどんな価値観で生きているんだろう?次に書くのはどんな物語か、できるまでは教えてくれないのだ。


でもきっと優しい物語。


纏う雰囲気が、なんだか優しいから。














「(それにしても、)」
















普段の背中からではわからない、思わぬ発見をしてしまった。
ほんと、「してしまった」ってかんじ。知ってしまった。
何も悪いことなんかしてないのに恥ずかしくて顔が熱くてやるせない。


目が追ってしまう。果てに引き起こされる眩暈。くらくらする。
こーゆーときに一番思うんだ年上の人だって。男の人だったんだって。
艶のある人だと思う。
形の良い鼻から、顎、そこから首筋にかけてのライン。


どうして。



なんでこうもこの人は、わたしのすきなカタチばかりしているんだろう。














「………あのさぁ、」
「う?」
「見すぎだから」




さっきから。って、なんだ気づいてたんだ。

ばれちゃった。

うわぁ。




「あんまり見るな」
「いえいえ、穴開けてあげますよ」
「気になるから」
「気にしてください」
「………もう勝手にしてくれ」






いいんですか勝手にしても。
なら、一時間が終わるまで。





恍惚フォ

(曲線美にやられてる)
PR
Comment
name 
title 
color 
mail 
URL
comment 
pass    Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
コメントの修正にはpasswordが必要です。任意の英数字を入力して下さい。
たまらん
さぞかし男前なんだろうなあ…
にやにやしてしまった´`*
しょこ 2008/03/27(Thu)22:19:56 編集
無題
夢と希望を詰め込んだよ…(*´∀`*)
どんどん脳内でリアルになっていくんですけど!←

自分キモ!ってなる。笑
まぁや 2008/03/28(Fri)18:19:53 編集
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
Template by Crow's nest 忍者ブログ [PR]