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本の虫と文字の虫とその周辺                                                            (初めての方はカテゴリより、「はじめに」と「登場人物紹介」から)
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君の声が聞きたい。

君と話ていたい。

もっともっと、

もっと?


【ケイタイデンワ】


(ケイタイデンワ 美濃視点の続きです。最初にそちらをご覧ください。)


「というわけで、理由を教えてください!」

相変わらずの突然の登場。
そして今回は変な要求をしてきた。

「何を」
「和泉さんが電話もメールもしてくれない理由です!」
「断る」
「えぇぇ!!」

何でですか!と俺の袖をつまみ揺らしてくる。

「今日友達に相談したんです。和泉さんがメールも電話も嫌でしてくれないと・・・」
「なんだ、その相談は・・・」





「和泉さん。私は、いつでも和泉さんと話しがしたいです」





彼女には変化球がない。
いつも真ん中ストレートのセリフだ。しかも剛速球。

彼女のストレート球にやられていた俺は返事ができなかった。

「そしたら、友達が『和泉さんに聞いてみろ』って。友達は和泉さんが嫌がる理由がわかったみたいなんですよ・・・」



な ん て こ と を 言 っ て く れ た ん だ 。





自分でもらしくない行為だと思っている。

こんなこと思ったこともない。


「も、もしかして!病気ですか!」
「違うから」

時々彼女は一人で暴走する。

まだ、心配そうな表情をしている。

はぁ、と俺はため息をついた。





「俺は何も遮られずに話したい」
「え?」
「それだけだ」
「え、え?」


困惑する彼女から背を向ける。
顔が熱い。


話したい。姿を見たい。
紛れもなく思うこと。

だが、

小さな機械を通したものでは意味がない。

目の前に。
隣に。
後ろに。
傍に。

そこにいるからこそ・・・。








あぁ、俺らしくない。
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